「らび」様の場合3・・・・・「入ってきた」 |
高校時代のことです、その日は期末試験の試験期間で、
私も結構勉強していました、試験前だけですが、
連日、遅くまで勉強して心身ともに疲れてきたある日のことです、
勉強も切り上げ、電気を消して布団に入った時、
丁度、左足の先のほうに部屋の入り口があるのですが
そこから誰か入ってきたんです、
最初は弟だと思いました、
時計を横目で見て、
(何だよこんな時間、・・・もう三時じゃないか)
他にも疑問を挟む余地はあるはずなのですが考えに上ってきません、
”それ”は、すっ、と私の足元を横切り壁のほうを向いて
ずっとぶつぶつ、ぶつぶつ呟いていました、
(へんなやつだな)
弟だと思っていました、
なぜ、夜中に私の部屋に入ってきたのか、
なぜ、ぶつぶつ呟いているのか、
なぜ、私は声をかけようとしないのか、
今思うと、次から次と疑問というか不自然だらけです、
ふと、
”それ”はこちらを振り向きました、
(ちがう)
思った瞬間に”それ”は私に向かって
覆い被さるように倒れこんで来ました、
体が竦み上がりました、
ぐぅぅっ、と体が硬直して、、、
はっきりと聞こえたのですが、重なってくる瞬間
「ハアハア、ハアハア、ハー、ハー」
荒い息遣いが聞こえました、まるで犬のような声です。
気が付いた時は朝でした、
思い出してみれば、部屋の扉が開いた記憶はありませんでしたし、
私の足元、いえ、足の上を歩いていたはずなのに、
重さどころか、音さえしませんでした。
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