献血

 

このお話は常連のお客様「キリンラガー」様から頂きました。

 
 
お盆明けの暑い日の事です。
 
体調が許せば献血をするタイプの私は昼食後あたりを狙って献血に向かいました。
 
 
 
血圧等の事前検査で私の前に並んだ女性は、

でっぷりとして、束ねた髪は固まり、出っ歯のうえ歯欠けと言う

かなり印象的ないでたちでした。

 

 

その人は400cc献血でしたが、血圧を測る看護士に
 
 
 
「400cc抜くんだから400cc分の飲み物を先にくれ」
 
 
 
と言っていました。
 
 
 
ご存知のように、ジュース等は献血後のご褒美です。
確かに先に補充しておいた方が良い事もありますが、
抜く分よこせと言うのは聞いた事が有りません。
 
 
 
その女性は200ccの牛乳と200ccのイチゴオレをゲットし
献血バスの中でチューチュー飲んでいました。
気がつきませんでしたが、その女性は夫婦ものだったのです。
旦那もパッとしない風体で靴下に草履をはいて、
同じ様に牛乳とミルクコーヒーを飲んでいました。
 
 
 
私は既に献血を開始しており200cc程リードしていました。
彼女の順番がきました。
看護士に「手をかしてください」と言われると
血相を変えて「まだ飲んでますから!」と大きな声・・・
「片方で良いですから」と言われると
 
 
「両方入ってますから」
 
 
 
旦那まで出てきて
「2本とも飲んで良いって言われたんですけど!」
 
 
 
どうやら、
 
手を出して=飲み物よこせ
 
のフローチャートが出来上がっているらしい。誰もあんたの牛乳なんて取らないよ↓
 
 
 
看護士も察したのか
「飲みながらで結構ですので手を貸して下さい」と言い換えた。
 
 
 
ベッドに横たわった彼女の腹の上には手提げカバンとイチゴオレが乗り、
片手には牛乳がしっかりと握られていました。
 
 
 
「献血初めてなんですぅ・・・」
 
 
 
不安げな表情で針を見つめる彼女。
しかし、イチゴオレを飲みきる前に彼女は献血を終えてバスから降りていきました。
200CCリードの私は、まだ終っていません。
吹き出る血潮だぁ・・・
 
 
 
私が献血バスを降りてジュースを貰いに行くと、
先ほどの彼女は、すぐそばのベンチで
リンゴ100%とバナナオレをチューチュー飲んでいました。
 
 
 
夫婦の会話が聞こえてきた。
 
 
 
妻 「もう一回やる?」
 
夫 「期間を空けないとダメらしいよ」
 
妻 「え〜黙ってれば分かんないよ」
 
夫 「でもここじゃ無理だろう」
 
妻 「他の所にもバナナオレあるかなぁ?もう一つ飲みたいな」
 
夫 「200ccやれば貰えるのかな」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
献血前後で800ccも飲んどいて、
寝ぼけてんじゃないぞ!
 
 
 
 
 
そう言う問題じゃな〜い!!
 
 
 
 
 
 
 
 
不謹慎だが、
あの夫婦の血は輸血して欲しくないなぁ。。。と思いました!
 
 
 
 
 
 

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