遺失物・・その4

 

このお話は常連のお客様「キリンラガー」様から頂きました。

 
 
 
先週、初老の女性が私の係を尋ねてきました。
 
 
 
 
用件を聞くと、カバンがなくなったとの事。
 
 
 
 
説明によると、ロビーの席を離れたスキになくなったという。
 
 
 
 
置き引きか!?そりゃ警察の管轄だわい。
 
 
 
 
でも、誰かが間違えて持っていってしまった可能性も
ないわけじゃないので、いつもの通りカバンの特徴等の調書をとった。
 
 
 
 
前歯が壊滅状態のその女性はスカスカ音をたてながら、
一つ一つ説明をしていった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「カバンは白地に花の柄がついてて紙製ね。取っ手はビニール紐。」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
・・・・・・・・・・・・・それって、もしかして紙袋のこと?
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「中身はコーラの空きボトル古新聞
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
・・・・・おい!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
こう言っては失礼かもしれないが、
「置き引き」の対象にはなりそうもない物件である。
 
 
 
 
 
まぁ、仕方ない。これも仕事。
その女性に、カバン(?)が発見された時の流れについて説明した。
身分を証明できるもの提示が必要ですよと。
 
 
 
 
一通り手続きが終わり、連絡先を聞いたところ
 
 
 
 
 
電話がないという。
 
 
 
 
 
 
ついでに住所もないという。
 
 
 
 
 
 
世間一般に言う「ホームレス」の方でした。
 
 
 
 
 
 
 
なくなったカバンが出てくるとは思えないが、連絡方法は確認しておかないと・・・
 
「私のところに確認の電話を下さい」と言ったら金がないと言う。
 
 
 
 
 
 
あげくの果てに
 
 
 
 
 
 
「う〜ん、しょうがないねぇ、毎日ここに来てっから寄ってやるわ。」
 
 
 
 
 
 
そう言って、女性は帰っていきました。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
・・・!?お前か―――!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
毎日晦日、冷暖房完備、
テレビ付の我社のロビーで
雨風しのいでるんは(怒)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
昨日、ロビーの喫煙コーナーで、この女性に遭遇しました。
 
 
 
仲間と椅子の上にあぐらをかいて一服してた。
傍らには、某スーパーの紙袋・・・いや、カバンが置いてありました。
 
 
 
 
 
 
新調したのかな?
 
 
 
 
 
 
あぁ、お願いだから、遺失物の届け出、取り下げて (T0T)
 
 
 
 
 
 
 
 
それから、ここでカップラーメン食べるのやめてぇ・・(叫)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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